かんぽ生命被害について


弁護団の意見


Q&A

随時更新しています(最終更新2020.6.23)


① 「特定事案調査」と「全ご契約調査」って何?

Q1:かんぽ生命の発表に出てくる「全ご契約調査」「特定事案調査」とは何ですか?

A1:かんぽ生命は、契約の乗換に関する6つの類型については「特定事案調査」を、それ以外の契約については「全ご契約調査」を実施しており、その後も、これに基づいて事案を分類して、対応状況や対応予定等を発表しています。

 かんぽ生命が発表している対応予定は、特定事案調査の対象となる事案か、全ご契約調査の対象となる事案かに応じて異なりますので、まずは、ご自身の保険契約がどちらに分類されているかを確認されることをお薦めします。

 かんぽ生命が発表している対応予定は、特定事案調査の対象となる事案か、全ご契約調査の対象となる事案かに応じて異なりますので、まずは、ご自身の保険契約がどちらに分類されているかを確認されることをお薦めします。

 確認の方法は、③をご覧下さい。またご不明な点があれば、弁護団までお問い合わせください。


② 「契約の乗換」が問題なの?

Q2:契約の乗換とは何ですか?乗換だけが問題ですか?

A2:既に加入している保険契約を解約して、新しい保険契約を締結することをいいます。ただし乗換だけが問題ではありません。

 契約の「乗換」は、不適切な勧誘の温床となります。かんぽ生命についても、契約の「乗換」に際しての不適切な勧誘が「特定事案」としてクローズアップされています。

 しかし、問題はそこにとどまっていません。Q6、Q7のとおり、「乗換」がない事案でも、多数契約、多額契約など、不適切な勧誘が行われていることがあります。


③ 送られてきた書面からわかることは?

Q3:私の契約が「特定事案調査」の対象になっているかどうかは、どうすれば分かりますか?

A3:かんぽ生命に問合せをして確認する方法が最も確実ですが、それ以外にも、かんぽ生命から調査のために送付された書面によって判断することもできます。

 かんぽ生命から顧客に送られた書面は、事案の種類によって内容が異なります。例えば、次のとおり考えることができます。

 ・改めて電話または訪問すると記載されている

 ・乗換内容の例が図で示されている

 ・返信用ハガキがない

   →「特定事案調査」の対象となっている。

 ・保険契約が顧客の意向に沿ったものかどうか質問を受けた

 ・チェックボックス方式で回答した

 ・返信用ハガキが入っていた

   →「全ご契約調査」の対象となっている。


④ 調査の書面はいつ送付されたの?

Q4:書面を探したいと考えているのですが、かんぽ生命から調査のために送付された書面は、いつ発送されたものですか?

A4:かんぽ生命は、顧客に対し、特定事案調査については2019年8月末までに、全ご契約調査については2019年8月から9月末までにかけて案内状等の書面を発送しています(ただし、全ご契約調査については、一部発送漏れがあり、2019年10月23日に発送したとしています)。


⑤ 送られてきた書面の内容からわかることはある?

Q5:特定事案調査や全ご契約調査では、どのような内容の書面が送付されているのですか?

A5:「特定事案調査」の対象となっている顧客に対して送付された書面は、類型や内容に応じて、10種類ほどあるようです。「全ご契約調査」の対象となっている顧客に対して送付された書面は、契約の時期や解約の時期などにより、3種類ほどあるようです

 「特定事案調査」の対象となっている顧客については、「お申し込み状況等のご確認のお願い」の書面が送付され、改めて電話または訪問することが記載されており、同封された「対象契約の状況」には、乗換契約の類型について例示した図と、確認予定の事項が記載され、書面の返送が不要である旨が記載されています。

 また「全ご契約調査」の対象となっている顧客に対して送付された書面は、「お申し込み状況等のご確認のお願い」という書面に、契約内容や顧客の意向について確認したい旨の記載と、返信用封筒による回答の依頼が記載されており、同封された返信用ハガキは、該当する番号の□にチェックを入れる、いわゆるチェックボックス方式になっており、最初の質問は、保険契約が顧客の意向に沿ったものだったかどうかを尋ねる内容になっています。また、問題がない場合は返信ハガキの返信は不要と書かれている種類もあります(この種類のものが最も多いようです)。


⑥ 追加調査があるって本当?

Q6:2020年2月1日に「かんぽ生命による追加の調査が行われる見込みだ」という新聞報道がありましたが、どのようなものですか?

A6:これまで「特定事案調査」の対象ではなかった問題類型(多数契約、多額契約、ヒホガエ、相続話法、二年話法など)について、金融庁からの指摘を受け、追加調査が行われる見込みです。対象は約6万人、22万件とされています。

 金融庁は、かんぽ生命に対する行政処分の中で、①「顧客の意向に沿わず、多数回にわたって契約の消滅・新規締結が繰り返されている類型」、②「顧客の意向に沿わず、多額の契約が締結され、高額の保険料が発生している類型」、③「顧客の意向に沿わず、既契約が解約され、既契約とは異なる被保険者で新契約が締結されている類型」、④「顧客の意向に沿わず、既契約が解約され、既契約とは異なる保険種類(年金から保険など)での新契約が締結されている類型」、⑤「顧客の意向に沿わず、既契約の保険期間が短縮され、短縮されてから短期間のうちに、新契約が締結されている類型」があるとされ、⑥「更に、実際には、節税効果が見込めない保険商品であるにも関わらず、社内研修資料において、募集人に対し、相続税対策として顧客に説明・販売することを慫慂しているなど、不適正な募集行為を助長しかねない実態が認められた」などを挙げ、実態の調査を促しました。

 かんぽ生命はこれを受けて、2020年1月31日付の「業務改善計画」にて、20万件の追加の調査を行う(6月末までをめど)としていますが、それも行政処分の内容を矮小化して捉えているのではないかと考えられ、実態把握の目的を果たせず、調査としてまたもや不十分なものになるおそれがあります。


⑦ 「特定事案」だけが問題?(2020.4.26更新)

Q7:私の父親の契約は、とくに調査対象になっていないようなのですが、問題はないということでしょうか?父も高齢ですし、面倒なので、このまま放置したいのですが。

A7:調査対象となっているかどうかにかかわらず、契約内容をご確認をいただくよう、お勧めします。

 調査対象については、もともとの調査も不十分であり、また。2020年2月以降に行われるとされている追加調査の範囲もかなり狭く設定されています(Q8をご覧ください)。

 金融庁の行政処分では、
①「顧客の意向に沿わず、多数回にわたって契約の消滅・新規締結が繰り返されている類型
②「顧客の意向に沿わず、多額の契約が締結され、高額の保険料が発生している類型」
③「顧客の意向に沿わず、既契約が解約され、既契約とは異なる被保険者で新契約が締結されている類型」
④「顧客の意向に沿わず、既契約が解約され、既契約とは異なる保険種類(年金から保険など)での新契約が締結されている類型」
⑤「顧客の意向に沿わず、既契約の保険期間が短縮され、短縮されてから短期間のうちに、新契約が締結されている類型」
⑥「更に、実際には、節税効果が見込めない保険商品であるにも関わらず、社内研修資料において、 募集人に対し、相続税対策として顧客に説明・販売することを慫慂しているなど、不適正な募集行為を助長しかねない実態が認められた」
⑦「無効・合意解除(苦情を受けて解約・返金をしたもの)、未入金 解除(初回保険料未払で解除)、1P失効・解約(初回保険料支払後に解除)、 撤回(クーリングオフ)となっている契約が多数認められたが、これらの中 には結果的に顧客に不利益が生じていない、または僅少ではあるものの、不 適正な募集行為により、顧客の意向に沿わない契約が締結されていたものが 含まれているおそれがある」
 などが指摘されています。

 調査対象となっている契約はもちろん、そうでない契約についても内容をご確認いただき、ご不明点があれば、ぜひご相談下さい。

⑧ 新たな「多数契約」調査とは(2020.6.23更新)

Q8:私の母親は、5件も同時に契約をして、毎月の保険料が約8万円になっています。これでも「多数契約」として調査対象にならないのですか?

A8:調査対象となっていないとしても、内容や勧誘に問題があるケースがあります。ご相談ください。

 かんぽ生命は、「多数契約」については、調査対象を「過去5年間で新規契約を1 0件以上加入し、その3割以上が消滅(解約、失効、減額または保険料払済 契約への変更を指す。)したもの」としています。
 しかし、10件以上、3割以上の消滅という要件は不相当に範囲を狭くして調査対象を絞り込みすぎています。

 また、「多額契約」も「65歳以上の契約者が月額保険料 10 万円以上の払込を行っており、かつ短期消滅契約が 1件以上発生(2014年4月〜2019年12月)しているもの」と絞っており、相当数の契約がこの基準からこぼれ落ちるものと思われます。

かんぽ生命は、6月12日付の「業務改善計画の進捗状況について」調査では「6月末を目途に確認を実施する」としていますが、調査の対象そのものが狭すぎて、これでは調査としては全く不十分です。

 このように、かんぽ生命の調査は限定的で、内容や勧誘が不当な契約が調査からこぼれ落ちる可能性があります。調査対象になっているかどうかを問わず、ご不明点があれば、ご相談ください。


かんぽ生命開示情報

・かんぽ生命のプレスリリース
https://www.jp-life.japanpost.jp/notice/index.html

・「かんぽ生命保険契約問題 特別調査委員会」調査報告書 2019.12.18
https://www.jp-life.japanpost.jp/information/press/2019/abt_prs_id001504.html

・金融庁による業務停止命令・業務改善命令 2019.12.27
https://www.jp-life.japanpost.jp/information/press/2019/abt_prs_id001507.html

・かんぽ生命の業務改善計画 2020.1.31
https://www.jp-life.japanpost.jp/information/press/2020/abt_prs_id001507.html

・かんぽ生命のご契約調査の状況等について 2020.3.31
https://www.jp-life.japanpost.jp/information/press/2020/abt_prs_id001529.html

・業務改善計画の進捗状況について 2020.6.12
https://www.jp-life.japanpost.jp/information/press/2020/abt_prs_id001558.html


金融庁の行政処分

・日本郵政グループに対する行政処分について 2019.12.27
https://www.fsa.go.jp/news/r1/yuusei/20191227.html


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