2019年7月、株式会社かんぽ生命保険(以下「かんぽ生命」という。)は、生命保険商品の販売に際して、一部不適切な勧誘行為があったことを認め、とりわけ不適切な乗換勧誘が行われた可能性がある18万3000件を「特定事案」として調査するとした。
しかしながら、特定事案は「氷山の一角」に過ぎず、これとは全く別の、これよりも悪質な態様の不適切な勧誘行為が行われている可能性がある。また、全契約件数3000万件についても契約時の状況確認を行うとしたが、これはハガキを送付するというものに過ぎず、アリバイ的なものであり、被害を認識していない、またはすることができない顧客にとって、何ら注意喚起となるものではない。
このように、かんぽ生命の対応は、全く不十分なものにとどまっている。
実際に、われわれ弁護士の元には、特定事案にとどまらず、かんぽ生命が、顧客に対して、そもそも合理的な根拠を欠く商品を勧め、また、顧客に適合しない商品を勧め、さらに必要とされる説明を尽くさないなど、保険商品の販売に際して不適切な行為を行っているとの情報が次々と寄せられている。
これは、かんぽ生命の個々の担当者がたまたま不注意だったのではなく、そして、「乗換」のみに問題があるのではなく、かんぽ生命が、高齢者からの厚い信頼を逆手にとって、自らの利益の追求を最優先にして商品を販売した結果であると考えられ、組織的・構造的な被害であると考えられる。
よって、かんぽ生命による被害の情報を収集し、被害について未だ認識をしていない顧客に対して注意喚起し、最終的により多くの被害者を救済するべく、ここに、弁護士有志により「かんぽ生命被害対策弁護団」を設立する。
2019年10月16日
かんぽ生命被害対策弁護団 団長 弁護士 加藤進一郎
弁護団メンバー
団 長 弁護士 加 藤 進一郎(木内総合法律事務所)
事務局長 弁護士 住 田 浩 史(御池総合法律事務所)
事務局次長 弁護士 山 本 直 樹(弁護士法人みお京都駅前事務所)
事務局次長 弁護士 安 枝 伸 雄(安枝法律事務所)
*ほかにも、複数のメンバーが活動しています。
(いずれも京都弁護士会所属)